函館地方裁判所 事件番号不詳 判決
右の者に対する所得税法違反被告事件に付当裁判所は検事某関与の上審理を遂げ左の通り判決する。
主文
被告人を懲役八月及罰金百五拾万円に処する。
被告人に於て前記罰金を完納すること能はざるときは金五千円を壱日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
理由
被告人は肩書住所で古物商の傍ら質屋を営んで居るものであるが、所得税を免れる目的で昭和二十三年一月から同年四月迄の営業実績から勘案して同年度の所得が少くとも百万円以上あるのに之を秘し、同年四月同月の予定申告書に故らに所得額が五万円である旨虚偽の記載をして之を其の頃所轄の函館税務署に提出した外同年度の所得税の確定申告期限である昭和二十四年一月三十一日を過ぐるも右税務署に申告をしないで故意に所得を秘匿するの不正手段によつて百八万円の所得税を免れたものである。
右の事実は
一、被告人の第二回公判廷に於ける供述記載
一、検察官の窪田精に対する第一回供述調書中判示に符合する供述記載
一、検察事務官の被告人に対する第一回供述録取書中判示に照応する供述記載
一、昭和二十四年函地領第一四〇号の一、二の帳簿の存在
を綜合して之を認める。
法律に照すと被告人の判示所為は所得税法第六十九条第一項に該当するところ情状に因り同法第三項を適用して懲役及罰金を併科したる其刑期並に金額の範囲内に於て被告人を懲役八月及罰金百五拾万円に処すべく被告人に於て前記罰金を完納すること能はざるときは刑法第十八条に則り金五千円を壱日に換算した期間被告人を労役場に留置すべきものとする。
仍て主文の如く判決する。